ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第三章 苦悩 第20

ラバンが帰った後、私はより大きな課題を解決しなければなりませんでした。私の生まれ育った土地、懐かしいカナンの地に帰ることにおいて最も気にかかったのは、やはりエサウでした。二十年も経ちました。エサウから逃れるために家を出る時七十七歳でしたが、今は九十七歳、もう少しで百歳に手が届きます。お互い歳も歳だし、過去の事を忘れていてくれたら、そして私を受け入れてくれたらどれほどいいかと思いました。しかし、エサウの怒りが収まったら呼び戻してくれるという母リベカからの便りが届くことはありませんでした。考えれば考えるほど居ても立ってもいられないくらい不安でいっぱいでした。

カナンの地に入る最後の関門であるヤボクの渡し場に至りました。あまりにも気が気でなかったので、まずは使者を一人送って、兄の弟ヤコブが来ました…いや、いや。兄の「しもべ」ヤコブが来たと知らせるよう言いつけて、様子を見てくるようにしました。非常に優しく丁寧な口調でなければならない、と何度も言い聞かせましたよ。

ところが、急いで戻ってきたこの使者の報告によりますと、エサウが屈強の者総勢四百人を従え、こちらに向かって出発したというではありませんか。

熱烈な歓迎のお出迎え?いやいや、そんなはずはない。いくら考えても屈強の者四百人だなんて穏やかではありません。間違いない。兄はまだ過去のことを忘れずにおられるのです。そうに決まっています。このヤコブが兄の長子の権利を奪っただけでなく、父の最後の祝福までも横取りしたということについてまだ怒っているのです。これはもう大変なことになりました。どうすればいいでしょう。

私は不安で焦り、苦しい思いで祈りをささげました。神よ、あなたが行けとおっしゃったから従ったのではありませんか。今まで私を導いてくださって、ここまで来ることが出来ましたが、エサウが屈強の者四百人も従えて攻められたら、私は死んでしまいます。私だけではありません。ここにある財産はすべて奪われ、ラケルや他の妻たちまで無事では済まないでしょう。子供たちだって同様です。神は、アブラハム、イサクの子孫を天の星と海辺の砂のようにされると言われました。なのに、ここでみんな殺してしまうおつもりですか。

いくら祈りを捧げても不安は依然として残っています。全く消えません。私は次の手を考えました。私は一晩中、兄に贈る貢ぎ物をまとめました。ヤギ二百二十匹、羊二百二十頭、ラクダと雌牛と雄牛などをささげようと思いました。私に必要な最少のものを除いてすべて贈ることにしたのです。私と私の家族の命がかかっているのです。こんな家畜を惜しんでいても始まりません。

使用人たちに命じて家畜を複数の群れに分け、順番に兄に見えるように段取りを組み、兄の怒りを少しずつ沈めた後、最後に私が会おうとしたのです。これ、なかなかいいアイディアでしょう?

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