ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第五章 追及 第11

私にはわかります。あなたは頭の頂からつま先まで、アブラハムを恨んでいます。イサクを恨んでいます。ヤコブを恨んでいます。いや、それだけでしょうか。天地を創造されたというあなたの神をも恨んでいます。アブラハム、イサク、ヤコブの子孫が彼らだから、神が彼らを未だに生かしておいたからです。違いますか?

あなたはいつの日か私に、このようなこともおっしゃいました。神は沈黙する神だと、アブラハムやイサクには多くのことをお話になりながらも、神があなたには沈黙を守り続けていると。

しかし、あえて私はあなたに申し上げます。沈黙したのは、あなたの神ではなく、他でもない、あなた自身なのです。

あなたは、三つの沈黙をされました。一つ目は、愛に対しての沈黙、二つ目は、慈悲に対しての沈黙、三つめは、許しに対しての沈黙です。

私はあなたを愛していました。私の体と心を尽くして愛していました。それは、今、この瞬間も変わりありません。しかし、あなたは私の愛に沈黙しました。否定しても無駄です。私も知っております。あなたも私を愛してくださったことを。しかし、その愛は<ツァフェナテ・パネアハ>としての愛です。あなたが私に与えられた愛は、ツァフェナテ・パネアハとして、エジプトの宰相として私を愛してくださっただけです。でも、ツァフェナテ・パネアハはあなたの半分にすぎません。あなたの残りの半分、もう一つの半分。それはヨセフとしてのあなたです。あなたは私をヨセフとして愛していない。なぜなら、ヨセフとしての愛は私に向けられたものではなく、あなたがカナンの地に置いてきたベニヤミンに向けられたものだったからです。私はすべて捧げて愛しましたが。あなたから与えられたのは、中途半端な愛だけでした。私はあなたのすべてを愛そうと思いました。宰相としての高い地位についているあなたとしてだけでなく、あなたのお父さんの十一番目に生まれた子として、ミディアン人の商人に売られていった弟として、濡れ衣を着せられ、長い間、囚人となっていた奴隷ヨセフとしてのあなたも愛そうとしました。でも、あなたは私の心を受け入れてはくれませんでした。ヨセフとしてのあなたは、ただベニヤミンだけを見つめていました。空を見つめるときも山を見つめるときも、ましてや私を見つめるときも、その目の中には、私以外にベニヤミンがいました。誤解しないでください。女の見苦しい嫉妬心で申し上げているのではありません。あまりにも危うく見えました。薄いガラス玉のように触れるだけで、割れてしまいそうでした。私は今までツァフェナテ・パネアハとだけ生き、ヨセフに対しては片思いをし続けてきたのです。あなたは私への愛に沈黙しました。

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