ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
http://japan.ikahochurch.com
ikahochurch@gmail.com

 
「ヨセフの再会」
完全版PDFダウンロード

 

第五章 追及 第4

あなたが聞かせてくれた言葉の中で最も興味深い点があります。あなたの神は二十五年も待たせた後に得られた息子を自分に生け贄として捧げるよう命じたんですって?そのようなことは、ここエジプトにもありました。最も純粋で最も高貴な人を偉大な神に捧げる神聖な儀式です。アブラハムをハランの地まで呼び出した神は三日の道のりの先にあったモリヤ山まで登り、息子を全焼のささげ物として捧げるようにと命じられたので、息子を縛って命を奪おうとしたところ、神の使者が現れ、これを阻止したと言いました。神は息子の代わりに全焼のささげ物としてささげる雄羊を備えてくださったのでしょう?それで曽祖父様は、その場所の名をアドナイ・イルエ、主なる神は備えられるという名前を残したという話が私にはとても印象的でした。

あなたの信じる神を考えるといろいろな意味で笑みがこぼれます。子孫を天の星のように海辺の砂のようにしてくださるとアブラハムに言われながら、結局、曾祖父様が得られ息子はイシュマエルとイサク二人だったそうじゃないですか。しかも、神の約束された、曾祖母様サラとの間に生まれた息子はイサクだけとのことです。幸いなことに、曾祖父様がお亡くなりになる十五年前に、あなたのお父様であるヤコブと伯父様のエサウを見届けられました。さぞ安心されたことでしょう。お逢いしたこともない曾祖父様の喜ばれるお顔が見えるようでございます。

曽祖父様アブラハムは最後まで準備される神を信じながら感謝の心を忘れなかったと言いますから、とても素晴らしいお方だったでしょうね。私には、とても真似できません。あなたの祖父様であるイサクは全くの父親似だったそうですね。すっかり物心ついた年頃だったにも関わらず、お父さんが自分を縛って薪の上にのせ、刃物を振りかざしても、抵抗しなかった祖父様。ホホホ。あら、笑って申し訳ありません。それが信仰なのか従順なのか、それとも…フフッ。

あなたの言葉によれば、祖父様の人生は平穏だったそうですね。これといって欲もなく争いもせず、与えられたことに感謝する生活でした。あなたが時折おっしゃる話を聞くと、備えられる神によって備えられたすべてのものを享受するだけだった生活は、だからこそ平穏な人生を送ることができたのかもしれませんね。

備えられる神。私はこの言葉がとてもに気に入っていました。もちろん、私たちを試される神を好きになることはできません。でも、信じて待っていれば備えてくださる、導いてくださるという点においては魅力を感じます。

第五章 追及 第5話 →

← 第五章 追及 第3話

ヨセフの再会トップ

伊香保中央教会トップ