ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第一章 決断 第5

 他でもない、ポティファル夫人のことよ。口にすることすら汚らわしい。考えてみてくれ。半人前の私を信じ、喜びと幸福と平安を与えて下さった慈悲深い将軍を失望させるようなことなど、私にできるはずないではないか。ポティファル夫人が私を寝室に招き入れようとしたとき、それを振り切って飛び出してきたのだが、私を憎んだ夫人は結局、ありもしない嘘によって将軍を怒らせ、私は牢獄に入れられる羽目になってしまったのだ。私が得られた平和はわずか10年にもならなかった。酷すぎる。あまりにも酷すぎる。私が何の過ちを犯したというのだ。私が主人の財産を一銭たりとも偽ったことがあったか。主人の財産に欲を出したことがあったとでもいうのだろうか。あるいは誰かに被害を与えたことがあったか。一体何の罪を犯したというのだ。私は私の父の神の名に懸けて堂々と言えるぞ。そのようなことは決してない。だが、それが何になろうか。その時まで充実なしもべとして少しずつ積み上げてきた信用やら信頼やらが一度に崩れ去ってしまったのだ。私は大きなことを望んではいなかった。そんな私を牢屋に投げ込むのがヤコブの神なのか。我が愛する父はそのようなわけのわからない神を信じたというのか。私は混乱した。しかし、その混乱を鎮める間もなかったよ。私は人間ではなく粗大ごみのような無残な姿で牢屋の中へと放り込まれてしまったのだ。笑わせるじゃないか。将軍の邸に住みながら、それも奴隷として住みながら、私は本当に小さいことだけを望んだ。生きながらえることだけを望みながら用心深く歩いてきたつもりだった。それなのに神というお方はそれまでも許さないというのか。その時はまるでみすぼらしい私が持っていたひとかけらのパンまでも奪われたような心境だった。何年もの間、自分の力で成し遂げてきたことが、小さな報いはおろかすべてが水の泡と化してしまう瞬間だったと言えよう。一寸先も見えぬ。血を吐くような努力も無駄になってしまったのに、これ以上何ができようか。

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