ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第一章 決断 第10

 私は献酌官だけを頼りにしていた。希望を抱いたのだ。どうか私を覚えてくれ、どうか私を忘れないでくれ、どうか私を出してくれ、どうか、私を…。どうか、私のことを…。
 そんな私の切実な思いを知ってか知らずか、献酌官は私の夢の解き明かしが「吉」だと知ってからは、分かった、分かったと笑ってばかりいた。何とももどかしいかぎりだった。
 すると、これを隣で聞いていた料理官も自分の夢を聞いてくれという。おそらく献酌官の解き明かしがよかったのでご自分も気をよくしたのであろう。しかし、彼の夢は献酌官のものと比べてみると、いかにも怪しいものが感じられた。話によるとその夢の中には同じく「三」が登場するのだ。自分の頭の上には三つのかごが積み上げられていたのだが、一番上のかごには陛下のために作られた様々な食べ物が入っており、鳥たちが飛んできて自分の頭のかごの中からそれらを食べてしまったというのだ。私はこれを聞いてめまいを起こしそうになったよ。何と不吉な夢だろうか。
 私は絶望した。もしも、献酌官が私を助けてくれなければ、料理官に望みを託そうと思ったはかない希望は虚しく消えてしまったのだ。献酌官の夢が回復を意味するのであったのなら、料理官の夢は破滅だったからだよ。全身、身震いがしたものだ。目の前の人間に死と絶望と破滅を伝えなければならなかったからね。
 これをそのまま言うべきかどうか迷ったがものだが、それを考えるいとまもなく、口からはすでに解き明かしが出てきてしまっていたのだ。
 あなたの頭の上にあった三つのかごは、やはり三日を示しています。今から三日のうちにあなたは木に吊るされ、鳥たちはあなたの肉をついばむでしょう。
 ああ、なんと恐ろしい。身の毛もよだつような話ではないか。
 私はこの言葉を終えて慌てたよ。私の力では、彼の救ってあげることも、せめて三日という苦痛の日々を短くしてあげることもなかったからね。私はすぐさま後悔したが、時すでに遅し。あっけにとられている彼を見ると、どうすることもできず、逃げるようにその場を立ち去ってしまったさ。「吉」を期待して開けていた口が歪みはじめ、絶望の底へと落ちていく暗い目を見たのが、その日の料理官の最後の姿だった。

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