ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第三章 苦悩 第17

すると、ラバンは新しい提案をしました。だったら報酬を私に決めろと言うのです。いくらでもやるとも言いました。私もずる賢いと言われますが、こいつもただものではありません。そういう面では私より一枚上手です。私が自分のためにどれだけ献身的に働き、どれだけ自分にとって得になる存在かをはっきりと分かっていました。

ですが、私はもうこれ以上は騙されません。彼は自分の持っているものを他人と分けることに関して徹底的に拒む人間、いくら血縁関係にある私と言えども、自分のものはびた一文たりとも渡さないという人間であるということを知っていました。だから、まるで私のためを思ってくれているようにああ言っているが、結局は自分のものを守りたいがために、私をまた道具扱いする魂胆なのです。もう、その手に乗るものですか。

私はラバンに、こう言いました。

もし、あなたが私の頼みを聞いてくれるのであれば、報酬は頂かなくとも結構です。その代わり、これから新しく生まれる家畜の中で、羊の場合はまだら模様、縞模様や黒色、ヤギの場合は斑点のあるやつが生まれてきたら、それを私の取り分ということにしてください。それらは私の牧場に連れて行きます。もし、いつでも私の牧場をご覧になって、まだら模様、縞模様や黒色でない羊がいたり、または斑点や縞模様以外のヤギがいたら、それはすべて私が盗んだものと思っても頂いても構いません。

欲深いラバンがこの提案を断るはずがない。

彼は言いました。

よおし、いいだろう。その後、彼の行動の速さと言ったら大変なものでした。まず、彼は自分の家畜の中から模様のあるヤギと黒い羊たち、少しでも柄があったり、黒い色を帯びそうなものを見つけると、それらを分けて、全部自分の息子たちに与えてしまいました。

残った白い羊たちと柄のないヤギたちだけをラバンのものとし、それらを私に任せたのです。それだけでなく、空っぽの私の牧場から、歩いて三日ぐらいかかる離れたところに自分用の新しい牧場をこしらえました。もう絶対お互いの家畜同士が混ざらないように、念には念を押したつもりなのでしょう。一体こいつは、どれほど、がめついのでしょうか。そんなに自分の物をとられたくないのかと思いませんか?

さあ、これからいよいよこのヤコブの力を発揮する時が来ました。柄のないヤギ同士を交配させて柄のあるヤギを産ませる必要があります。白い羊同士を交配させて柄のあるの羊と黒い羊を作り出さなければならなかったのです。ハハハ、皆さんはこれが簡単に聞こえますか?これはですね、ちょっとオーバーに言えば、水と水を掛け合わせてお酒を造るようなものなんです。常識的に考えてうまくいくはずなんて全くなかったんです。でも、これを成功させなければ私の取り分、私の報酬がありません。

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